コミュニケーション能力

私の個人的な感じ方かもしれませんが、ヨーロッパでは、初対面の人であっても気軽に会話ができるので、島国育ちの私は、大陸の人のコミュニケーション能力の高さに少々あこがれます。

しかも若者がお年寄りに対して敬意払う姿は、感心さえします。

パリの地下鉄に乗っている時のことです。

お年寄りと20歳代の青年が、フランス語で楽しげに話しているのを見て、おばあちゃんと孫という風に察しました。

横顔を比べると鼻の形がよく似ているなと思い、ぼんやりその様子を見ていました。

オペラ座近くのアメリカンエクスプレスに用事があったので、パリの地下鉄のオペラ座で下車すると、彼らも一緒にメトロを降りました。

相変わらず会話を弾ませながら歩いていきます。

オペラ座の駅の構内はとても広く、オペラ座正面の出口までは結構歩きます。

その間、青年はおばあちゃんのスーツケースを引き、歩調をあわせて歩いています。

最後にやっかいな出口の重いドアを開けると急に空が広がり、オペラ座のドームの先に輝く金色の像が目に飛び込んできます。

青年はおばあちゃんの手を引き一歩一歩階段を登っていきます。

結構人ごみがあったので、私も彼らの後を進むしかありません。

やっと階段を登り終わると、前の二人は顔を見合わせ、青年はカートをおばあちゃんに手渡します。

彼は力こぶを作って、どう、僕って強いでしょ?という風にポーズを作ると、おばあちゃんも微笑んで、「とても助かったわ」と彼の腕を軽く叩きました。

私が、おや、ひょっとしてこの二人は家族じゃないのと考えていると「チャオ、オルボワール(じゃあ、さようなら)」とおばあちゃんはカートを引いて、右に横断歩道を渡り、青年は、反対側に渡って行きました。

私は、このさりげない会話とお互いの他人ぶらない上手な距離感に感銘を受けました。

大げさではなく、といって心のこもったおばあさんへの親切、親切されたからといって媚びないおばあさんの年配者としての態度は、それからの私のとって、生きた教科書として今も心に残っています。

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